穴倉

王様の耳はロバの耳、

預言の書

寝不足でちょっとつらいやと思い横になると、10分ほど眠ったらしく、悪夢をみた。夢の中でも私は悪夢をみていて、体に何かがふれる感触で目が覚めそうになっている。でもまだ眠くて、どうにかこじ開けたまぶたの隙間から見ると、部屋の窓を開け放しにしていたせいか蚊のような小蠅のような虫が全身に集っていて、窓の外は闇で、巨大なすばる星雲が浮かんでいる。悲鳴をあげて身体中をむちゃくちゃに叩きまくるが、小さな虫たちはぴしゃんぴしゃんと打つ私の手を逃れ、繰り返し何度も肌に吸い寄ってくる。死に陵辱される恐怖にさいなまれているのに、どうしても眠くて、まぶたは絶えず落ちてくる。指でまぶたを押さえても、視界がどんどん閉じていく。のどが詰まって声が出ない。暗くなる。死ぬ。ばっとあたりが白くなって画面が切り替わったと思ったら、私の部屋である。叫んでも暴れてもおらず、きわめて寝相よく寝ていた。

何か食べたかったし買いたい本があったので、上着を着て貴重品だけ持って家を出る。玄関を出ると身慄いするほど寒く、眠たいせいかなと思って深呼吸しながら背伸びをしてみると、体の内側から外側から冷えた空気に触れて心底寒い。逆効果だよ、とムカついてすぐやめる。

路地を歩いていると、見たことのない鳥がちょっと飛んで、地面を跳ねて、またちょっと飛んで、暇そうにしている。なんの鳥だろうと見ていると、ランニングをしていた親子の父の方が「あ、メグロじゃん」と言いながら通り過ぎていった。ははあこれがメグロか。私はてっきりカケスかと思った、やはり年の功と思いながら一応スマホで調べてみると、メグロでもカケスでもない。結局キジバトのちょっと変わったやつだったんだろうと思うことにした。

家から一番近い本屋は充実したラインナップの個人書店だが、古書店だ。新刊がほしかったので、15分ほど歩き初めての書店に行ってみた。新刊書店ではあったが、古書店よりずっと小さいうえがっちりと地域に密着していて、子どもと老齢の人々を想定した本ばかりだった。イーロン・マスクの半生を記した本だけが平積みされて、完全に浮いていた。

しかたがないので、電車を使って隣駅の未来屋書店が入っているイオンに行った。花粉症がきつい。人が多くて、皆平気で車道にはみ出している。途中、クラシックバーガーの店でハラペーニョたっぷりの本格メキシカンバーガーを食べ、カセットコンロを抱えた制服姿の男子高校生を見かけた。

そうして購入したのがこの本です。

それでは読みます。

九段理江さんで「東京都同情塔」

f:id:mutsuinui:20240302142800j:image f:id:mutsuinui:20240302142817j:image